平成最後の夏だから。
日本人は、終わりが見えているものが好きだ。
散りゆく桜を眺め、
閉店セールには列をなし、
解散を発表したバンドの曲を突然聴き出す。
儚い。
切ない。
そんな日本人特有の感情。
最近よく耳にする。
平成最後の〇〇
天皇陛下が来年4月に退位すると知った私達は、
突然平成の終わりを突きつけられた。
SNSでは、こぞって『平成最後の』と言いたがる。
大して去年と変わらない。
ただの平成の内の1年にしか過ぎないのに。
なぜ、そんなに終わりが見えるものが好きなのか。
きっと、何か理由が欲しいだけなんだ。
『平成最後』を言い訳に、
ただ何か行動に移したいだけ。
これから平成最後の誕生日も、
平成最後のハロウィンも、
平成最後のクリスマスも、
平成最後の年越しも、
私達を待っている。
そんな節目のタイミングに、
新たな自分に出会えるかもしれない。
新たな恋が待っているかもしれない。
新たな未来が待っているかもしれない。
その『かもしれない』に思いを馳せながら、
各々が『平成最後』を楽しんでいるのだろう。
今は、平成最後の夏だ。
去年となんら変わりのない夏だ。
それでも、平成最後の夏だから。
いつもより勇気を出して、一歩を踏み出してみよう。
好きなあの子を夏祭りに誘ってみよう。
1人で旅に出てみよう。
平成最後の夏だから。