ハロウィンなんて世間は言うけれど。
トリックオアトリート
お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ
この言葉を初めて聞いたのは、
任天堂ゲームキューブの『どうぶつの森』の中でだった。
街はハロウィン一色。
無宗教者の多いこの国は、宗教行事もごちゃ混ぜだ。
渋谷での騒ぎはニュースで取り上げられ、
今や一大行事までに発展したハロウィン。
世間では、その話題で持ちきりだ。
その頃私は、遠くからきた友人と一緒に過ごした。
普段歩く道でも、
1人で歩くより誰かと歩いた方が楽しい。
いつもなら気づかないようなことが目に付いたりもする。
1日の締めに、近所の駄菓子屋に行ってきた。
店内には懐かしの駄菓子がずらりと並べられ、
小学生たちがお菓子を食べながらデュエマのバトルをしていた。
そう、この感じ。
カゴを手に、あれこれと懐かしの味を詰めていった。
そしておばちゃんの立つレジ台へ。
あぁ、昔とは違うな。
ふと思った。
小学生の頃は、
「今日は300円しかないからうまい棒とゴールドチョコと蒲焼さんと」
なんて、必死に足し算をしながら手に取っていた。
自分、もう子供じゃないんだな。
そう思ってしまった。
それがなんだか虚しくて。
けど、そんな自分が嬉しくて。
1人勝手にエモさに浸った夜だった。
ハロウィンなんて世間は言うけれど。